タイガーマスク研究会 掲示板

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天使と悪魔

[No.29] Name 天使タイガーマスクのシンパ Date 2021/06/25(Fri) 21:10   返信

タイガーマスク研究会 様

 “タイガーマスクを悪魔と結論づけ”とは、第43話の分析・解説のことでしょうか?
とすれば、貴殿がそこで述べておられるコメントに、私はさほど違和感は抱きません。
右膝に重傷を負った赤き死の仮面に対し、タイガーが左足にも大きなダメージを与え、
完全に戦闘能力を奪うことはできたでしょう。そこまでであれば反則技での応戦も
正当防衛の範囲であったと思います。しかし、赤き死の仮面がリング上に持ち込んだ
凶器とはいえ、机の破片を背部に突き立てる攻撃は防衛の域を著しく超えるものです。
相手がグレートのような虎の穴そのものといえる、“最後の邪悪”であるなら別ですが、
赤き死の仮面は試合に敗れれば虎の穴から相応の処分を受けることになるはずです。
直人も自ら反省し後悔していましたが、確かにもう少し冷静な行動をとるべきでしたね。
ですが、幼いころから人の情けを知らないで育ち、虎の穴のような組織に長く所属した
直人の経歴からすれば、天使のような優しい心を持ちつつも、悪魔のごとき邪心が潜在的
共存をしていたとしても不思議ではないかも知れません。さらに貴殿が示唆しておられる
ように、この第43話を第1部完結編と位置付ける制作者の意図があったとすれば、むしろ
納得できる結末であったように思えます。完結編となれば、当然それなりのインパクトを
与えたい。最後に描かれる、虫ピンで固定されたトンボの標本と化した赤き死の仮面、
これにマッチする決め技は、あの“串刺し”以外にはなかったのでしょうね。また、後の
ストーリー構成のためにも、直人には猛省させて国外行脚してもらう必要があったのか?
最終回へ向けたプロローグとなっていたことも、仰る通りよく理解できます。

 貴殿が仰る“結論づけ”が、あるいは真の完結編(第105話)における分析コメントを
指してのことであれば、僅かに再考する余地があるかも知れません。タイガーが披露した
悪魔的行為は、直人の本性・性分の為せる業ではなく、虎の穴に仕込まれたものでしょう。
しかし、直人がグレートとの試合中、「虎の穴から貰ったものをたたき返してやる。
それで俺は伊達直人に還るのだ。」と宣言したことが、解説の中で明記されています。
ですから、直人が自身に巣くう邪心を払拭したことは、読者に十分伝わると考えます。


追記

 最終回(第105話)終幕、ルリ子が”ゴンドラの唄”を口ずさんでいたブランコの
傍らで、寄り添うように集まってきた子供たちに、彼女はどのように語りかけたのか?
直人の努力を無駄にしないと決意を新たにしたルリ子の、”直人さんは、悪魔さえも
懲らしめる天使のような人だったのよ”と聞かせる姿を想像してしまいます。
”たかがアニメ、されど不滅のアニメ”を、今になって、強く実感しています。


総論

[No.28] Name タイガーマスク研究会 Date 2021/06/23(Wed) 22:32   返信

タイガーマスクを再考証する前に、いま一度タイガーマスク総論を読み返したのですが、十年くらいの時間が経っており、自分でも何故こんなことを書いたのか分からないところがあります。
タイガーマスクを正義のヒーローではなく、その異名のごとく悪魔と結論づけ、悪魔のような男に魅かれる娘の物語とし小さく満足しているようです。また商業作品として分解して語っています。貴殿のように太陽、天使という高さまで昇華させることが出来ませんでした。
貴殿が「タイガーマスク総論」の難点を指摘し、その高尚なる分析をこの欄に投稿して下さったことに感謝いたします。私にとっても、さらには今後のタイガーマスク研究者にとっても有益であります。あらためてお礼申し上げます。


御礼とお詫び

[No.27] Name 天使タイガーマスクのシンパ Date 2021/06/22(Tue) 21:25   返信

タイガーマスク研究会 様

 迅速なご対応をいただき、ありがとうございます。
ですが、貴殿に対しあたかもプレッシャーを与えるような形となってしまったのではと思い、
申し訳なく思っております。この掲示板が開設されて以降つい先だってまでは、私も時間的余裕もなく
昔のアニメを視聴することなどできず、このサイトにたどり着くこともできませんでした。
たまたま最近になって自由な時間が持てるようになり、懐かしさも相俟って考察などしてみた次第です。
何ら急ぐことでもありませんし、貴殿のご都合に合わせ大きなご負担とならぬ範囲でご教示いただければと思います。
貴殿のアニメ全話に関する解説は、今回私が視聴した限り完璧で素晴らしいものであると思っております。
ただ唯一、前回の投稿でも述べましたように、第42話については実際と異なるように感じました。
最終回のグレート戦は、赤き死の仮面戦とは比較にならないほど過酷なもので、当然別格の解釈が必要と思われますが、
関連性を除外して考察することは難しいと感じました。いずれにしても、一つの正解を得ることなど困難でしょうね。

 くれぐれも、ご自身のペースに支障が生じない範囲でのご対応をお願い申し上げます。


追伸:些細なことではありますが、忘れないうちに、既に気付いている点をお知らせいたします。
   第102話、ルリ子がタイガーを待ち伏せたのは、病院ではなくプロレス協会・トレーニングジムの駐車場でした。
   そしてルリ子が乗車したのは、後部座席ではなく助手席でした。
   


無題

[No.26] Name タイガーマスク研究会 Date 2021/06/20(Sun) 21:40   返信

遊びで始めて、「タイガーマスクW」をもって完結させたつもりのタイガーマスク研究会ではありますが、貴殿のように熱心に読んで下さる方もあり、とまどいつつ責任を感じております。
貴殿の深い真摯な考察に対して、いま適当な回答あるいは反論をすることは不誠実です。もう一度、アニメと原作漫画を読み直し、おこがましくも「総論」として提出した私論を書き直すべきかと思っております。
作品論として語るとき難しさを感じたのは、原作者である梶原一騎をはじめ脚本家によって基本設定や人物像に解釈の違いがあることです。各作家別のタイガーマスク観を本人に取材したいところなのですが、古い作品なので御本人の記憶もあいまいで、また、膨大な仕事の一本でありファンが思っているほどの愛着を持っておられない場合もあります。
作品研究は客観的でなければならないのですが、タイガーマスク研究会は、プロレス史にタイガーマスクが実在したという夢の世界でもあります。


追加考察

[No.25] Name 天使タイガーマスクのシンパ Date 2021/06/20(Sun) 01:24   返信

お忙しい中、私のコメントに対する回答をいただき、ありがとうございました。

前回(5/26)の投稿後、アニメ全話を懐かしい思いで視聴し、自分なりの考察もしてみました。
忌憚のないご意見をいただけましたら幸いです。
【明日なき虎】第42話


 試合を止めても無駄であること知る大門は、直人に「フェアーな技に拘るな」と助言した。虎の穴の刺客を迎え撃つには至極当然のことであるが、
直人は迷っていた。

 嵐虎之助の言、「武士道とは死に狂いだともいっている。つまり大事を達成するためには気違いになってやらねばならぬということじゃ。」

 直人が死を覚悟でリングに立つことを悟ったルリ子は、「あなたは、たとえ私が止めても赤き死の仮面と戦うでしょうね」
直人「ちょっと待ってください、ルリ子さん」 ルリ子「いいえ、言わせて!・・・あなたに死を賭けてリングに立つ勇気があるなら、
子供たちのために生き抜く勇気もあるはずよ。リングで戦うタイガーマスクは子供たちにとって太陽なの、生きる希望なのよ!・・・」 
直人「止めてください!」・・・お願い、死なないで!  この場面での直人の発言は前述の二言のみで、“何のことか、わかりません”
というような虚言は一切口にしていない。この後、直人は無言のままルリ子に背を向けて遠ざかっていく。
これはタイガーマスクの正体が自分であることを認めたも同然の挙動であり、恍けるような素振りは微塵も見られない。

 この場面で、ルリ子が直人に伝えたかった真意は、”子供たちの生きる希望である太陽(タイガーマスク)は決して沈むことがあってはならない”、
ということではないだろうか。加えてここで言う“子供たち”とは、ちびっこハウスの子だけでなく全国の恵まれない子を含めての“子供たち”
であることを、ルリ子は意識していたと想像できる。彼女は、タイガーが覆面ワールドリーグ戦に参戦しようとした際、そのことを感じ取っていたからだ。
であるから、彼女が直人にリングから去ることや、ましてちびっこハウスの職員となることを勧告するなど、あろう筈もないのは明らかといえよう。
覆面ワールドリーグ戦ミスターノーとの試合中、健太は「ルールのない試合では反則は当然の戦法」とのメッセージを送った。それを聞いたタイガーは
「俺は可愛い俺の味方のためにもそう易々とは負けられないぜ!」と言って難局を乗り越えたことも、ルリ子は鮮明に記憶していたであろう。
彼女はあの時、逆に子供たちから教えられたのだ*。虎の穴という組織のことを知る由もないルリ子だが、傍若無人に反則技を繰り出す赤き死の仮面との試合では、
一切の“枷”を取り払って生き抜くために戦うことを望んだのだと思う。強いて理由を言えば、その“枷”はルリ子や健太に起因しているものだからだ。
彼女は、子供たちに教えなければならないこと、“どんなに辛くても、正しく、真面目に・・・“ を今の直人に要求すれば、子供たちや自分にとって
最愛の人を失いかねないと思ったのだ。そのように解釈するのが妥当ではないか。


*些か蛇足ではあるかも知れないが、以下を付記する。(第42話とは別である)

 教員(保護者)である大人が、逆に子供たちから教えられる場面は、これだけではない。早々、第1話で取り上げられている。
ちびっこホームで一番のわんぱくな子であった直人は、夜中に院長室から故院長夫人の写真を拝借しようとした。それを見つけた院長の若月光太郎は
「こら待て、悪戯坊主!」と言って直人を追いかける。直人は「悪戯じゃないやい!・・、院長先生は僕たちのお父さんみたいな人でしょ?」 
院長「ああそうだ」 直人「だったらこの人は僕たちのお母さんだ。僕たちだってお母さんの写真が欲しいもん!」 若月院長は、「ウーンなるほど、
直坊の言う通りだ。この写真はおまえたちの部屋に飾ることにしよう」 若月光太郎の教育者としての人格を表現するのに、極めて印象に残る場面であった。
さらに、直坊(直人)が賢こくもあり、かつ感受性の高い人物であることを、冒頭から予感させた。その当時のことが、ルリ子に刻まれた記憶の中で語られるのは
果たして偶然なのか。光太郎の血を受ける彼女は、覆面ワールドリーグ戦に際して、健太らの主張(タイガーへのメッセージ)を戸惑いながらも認め、そして学んだ。
あの馬場もしかりである。タイガーマスクにサインを求める男の子「本当は優しい人だね。だって、目を見ればわかるよ!まるで兄ちゃんのような目をしてるだろ」 
快くサインを渡し、小さなファンに感謝を呟く。一部始終を見ていた馬場は「大人は騙せても、子供の眼は騙せんという。子供の眼はもっと深いところ、
本質を衝こうとするからだ。」そう子供に教えられて、見かけの悪役(タイガーマスク)との契約破棄を撤回したのだ。


第42話に戻る

 直人はルリ子やハウスの子供たちと別れた後、タイガーマスクとして練習場を訪れた。その気迫に満ちた目を見た馬場や猪木らは驚いた。
馬場は、人間の目が猛虎に近くなる時、それは死を恐れず死を乗り越える心になった時しかない、そして赤き死の仮面との試合が
「必ずや日本プロレス最大の死の試合となるだろう」と言い、その恐ろしい顛末を予感した。

 馬場はクリーンファイトをモットーとするプロレス協会の体面上、無論タイガーに何も言える訳はない。しかし虎の穴という組織の極悪非道を知る
大門は直人にはっきり反則技を武器とすることを助言し、またルリ子も健太の代弁とも受け取れるメッセージを送り、激励したのではないかと思える。
さらに嵐虎之助も、自らは神聖なる武道家の立場からか明言はしないものの、誠の正義と愛するものを守るという大事を達成するためには、
狂気の沙汰をもって成すことも武士道に反するものでないことを、暗に告げたのではないか。

 タイガーが赤き死の仮面を凄惨な反則技で降した試合後(第43話)、ちびっこハウスではルリ子が子供たちに話しかけた。
クリーンファイターからラフファイターに戻ってしまったタイガーマスクではあったが、タイガーが悪役から正統派レスラーへ変わろうしてきた
その努力こそが尊いのだ。努力を忘れない人間はいつか必ず立ち直れることを、健太らに教えた。かつてブラックパイソン戦、覆面ワールドリーグ戦の後、
見事に立ち直ったタイガーの足跡から、彼の再起を、大門、嵐や馬場、そしてルリ子も信じていたのだ。
 以上、私の拙い考察を述べさせていただきました。

 若月ルリ子のアニメキャラクターを超えた魅力にについて、貴殿のお考えを理解いたしました。
このアニメで語られるような事が現実であったならば、アニメの中でも覗えるような彼女の直人に対する恋愛感情が、
無論結婚を望む気持ちまで発展しても不思議ではありません。私はアニメ製作者については疎く、その方々の本意も存じません。
ただ一つ思うことは、アニメキャラクターのイメージは個々の視聴者が自らの感性で抱くものではないかということです。
そのような観点から、今回一例として私見を提示しました。

 アニメの中でキャラクターが発言した内容や、とった行動ついては、事実に基づく正確な記載が必要であると思います。
貴研究会の他に類を見ない詳細かつ緻密な報告は、今後も注目されるものと思います。より完成度の高い作品となればと思い、
僭越かつ微力ながら投稿いたした次第です。





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