[No.25] Name 天使タイガーマスクのシンパ Date 2021/06/20(Sun) 01:24
返信
お忙しい中、私のコメントに対する回答をいただき、ありがとうございました。
前回(5/26)の投稿後、アニメ全話を懐かしい思いで視聴し、自分なりの考察もしてみました。 忌憚のないご意見をいただけましたら幸いです。 【明日なき虎】第42話
試合を止めても無駄であること知る大門は、直人に「フェアーな技に拘るな」と助言した。虎の穴の刺客を迎え撃つには至極当然のことであるが、 直人は迷っていた。
嵐虎之助の言、「武士道とは死に狂いだともいっている。つまり大事を達成するためには気違いになってやらねばならぬということじゃ。」
直人が死を覚悟でリングに立つことを悟ったルリ子は、「あなたは、たとえ私が止めても赤き死の仮面と戦うでしょうね」 直人「ちょっと待ってください、ルリ子さん」 ルリ子「いいえ、言わせて!・・・あなたに死を賭けてリングに立つ勇気があるなら、 子供たちのために生き抜く勇気もあるはずよ。リングで戦うタイガーマスクは子供たちにとって太陽なの、生きる希望なのよ!・・・」 直人「止めてください!」・・・お願い、死なないで! この場面での直人の発言は前述の二言のみで、“何のことか、わかりません” というような虚言は一切口にしていない。この後、直人は無言のままルリ子に背を向けて遠ざかっていく。 これはタイガーマスクの正体が自分であることを認めたも同然の挙動であり、恍けるような素振りは微塵も見られない。
この場面で、ルリ子が直人に伝えたかった真意は、”子供たちの生きる希望である太陽(タイガーマスク)は決して沈むことがあってはならない”、 ということではないだろうか。加えてここで言う“子供たち”とは、ちびっこハウスの子だけでなく全国の恵まれない子を含めての“子供たち” であることを、ルリ子は意識していたと想像できる。彼女は、タイガーが覆面ワールドリーグ戦に参戦しようとした際、そのことを感じ取っていたからだ。 であるから、彼女が直人にリングから去ることや、ましてちびっこハウスの職員となることを勧告するなど、あろう筈もないのは明らかといえよう。 覆面ワールドリーグ戦ミスターノーとの試合中、健太は「ルールのない試合では反則は当然の戦法」とのメッセージを送った。それを聞いたタイガーは 「俺は可愛い俺の味方のためにもそう易々とは負けられないぜ!」と言って難局を乗り越えたことも、ルリ子は鮮明に記憶していたであろう。 彼女はあの時、逆に子供たちから教えられたのだ*。虎の穴という組織のことを知る由もないルリ子だが、傍若無人に反則技を繰り出す赤き死の仮面との試合では、 一切の“枷”を取り払って生き抜くために戦うことを望んだのだと思う。強いて理由を言えば、その“枷”はルリ子や健太に起因しているものだからだ。 彼女は、子供たちに教えなければならないこと、“どんなに辛くても、正しく、真面目に・・・“ を今の直人に要求すれば、子供たちや自分にとって 最愛の人を失いかねないと思ったのだ。そのように解釈するのが妥当ではないか。
*些か蛇足ではあるかも知れないが、以下を付記する。(第42話とは別である)
教員(保護者)である大人が、逆に子供たちから教えられる場面は、これだけではない。早々、第1話で取り上げられている。 ちびっこホームで一番のわんぱくな子であった直人は、夜中に院長室から故院長夫人の写真を拝借しようとした。それを見つけた院長の若月光太郎は 「こら待て、悪戯坊主!」と言って直人を追いかける。直人は「悪戯じゃないやい!・・、院長先生は僕たちのお父さんみたいな人でしょ?」 院長「ああそうだ」 直人「だったらこの人は僕たちのお母さんだ。僕たちだってお母さんの写真が欲しいもん!」 若月院長は、「ウーンなるほど、 直坊の言う通りだ。この写真はおまえたちの部屋に飾ることにしよう」 若月光太郎の教育者としての人格を表現するのに、極めて印象に残る場面であった。 さらに、直坊(直人)が賢こくもあり、かつ感受性の高い人物であることを、冒頭から予感させた。その当時のことが、ルリ子に刻まれた記憶の中で語られるのは 果たして偶然なのか。光太郎の血を受ける彼女は、覆面ワールドリーグ戦に際して、健太らの主張(タイガーへのメッセージ)を戸惑いながらも認め、そして学んだ。 あの馬場もしかりである。タイガーマスクにサインを求める男の子「本当は優しい人だね。だって、目を見ればわかるよ!まるで兄ちゃんのような目をしてるだろ」 快くサインを渡し、小さなファンに感謝を呟く。一部始終を見ていた馬場は「大人は騙せても、子供の眼は騙せんという。子供の眼はもっと深いところ、 本質を衝こうとするからだ。」そう子供に教えられて、見かけの悪役(タイガーマスク)との契約破棄を撤回したのだ。
第42話に戻る
直人はルリ子やハウスの子供たちと別れた後、タイガーマスクとして練習場を訪れた。その気迫に満ちた目を見た馬場や猪木らは驚いた。 馬場は、人間の目が猛虎に近くなる時、それは死を恐れず死を乗り越える心になった時しかない、そして赤き死の仮面との試合が 「必ずや日本プロレス最大の死の試合となるだろう」と言い、その恐ろしい顛末を予感した。
馬場はクリーンファイトをモットーとするプロレス協会の体面上、無論タイガーに何も言える訳はない。しかし虎の穴という組織の極悪非道を知る 大門は直人にはっきり反則技を武器とすることを助言し、またルリ子も健太の代弁とも受け取れるメッセージを送り、激励したのではないかと思える。 さらに嵐虎之助も、自らは神聖なる武道家の立場からか明言はしないものの、誠の正義と愛するものを守るという大事を達成するためには、 狂気の沙汰をもって成すことも武士道に反するものでないことを、暗に告げたのではないか。
タイガーが赤き死の仮面を凄惨な反則技で降した試合後(第43話)、ちびっこハウスではルリ子が子供たちに話しかけた。 クリーンファイターからラフファイターに戻ってしまったタイガーマスクではあったが、タイガーが悪役から正統派レスラーへ変わろうしてきた その努力こそが尊いのだ。努力を忘れない人間はいつか必ず立ち直れることを、健太らに教えた。かつてブラックパイソン戦、覆面ワールドリーグ戦の後、 見事に立ち直ったタイガーの足跡から、彼の再起を、大門、嵐や馬場、そしてルリ子も信じていたのだ。 以上、私の拙い考察を述べさせていただきました。
若月ルリ子のアニメキャラクターを超えた魅力にについて、貴殿のお考えを理解いたしました。 このアニメで語られるような事が現実であったならば、アニメの中でも覗えるような彼女の直人に対する恋愛感情が、 無論結婚を望む気持ちまで発展しても不思議ではありません。私はアニメ製作者については疎く、その方々の本意も存じません。 ただ一つ思うことは、アニメキャラクターのイメージは個々の視聴者が自らの感性で抱くものではないかということです。 そのような観点から、今回一例として私見を提示しました。
アニメの中でキャラクターが発言した内容や、とった行動ついては、事実に基づく正確な記載が必要であると思います。 貴研究会の他に類を見ない詳細かつ緻密な報告は、今後も注目されるものと思います。より完成度の高い作品となればと思い、 僭越かつ微力ながら投稿いたした次第です。
|